Creation College 2009
ゲーム製作や物語製作をされる方のための創作支援サイト

ゲーム開発ガイダンス

ゲーム開発ガイダンス
ゲームを作りたいけどどうやって作るのだろう、という方向け。入門記事です。
初出:2009-05-20 / Update: 2009/05/25 22:59:40


1. はじめに

 コンピュータゲームは何から成り立っているか?
 まず、ゲームを動かすための「プログラム」があります。そしてほとんどの場合「グラフィック素材」が必要です。また、ストーリー物を作るのであれば「シナリオ」が必要となります。音楽が鳴るのであれば、「音楽および効果音素材」が必要となるでしょう。
 しかしそれ以前に、どういうゲームを作るかという「ゲームアイデア」が必要となることは言うまでもありません。あなたにはこれらを作成、準備することができるでしょうか。

 小説は物語さえ書ければよい。イラストは絵さえ書ければ良い。音楽作品は作曲能力があれば良い。これらと違ってコンピュータゲームは必要とされる技術が非常に多く、総合力を必要とします。それゆえに、難易度も他の創作に比べて高いと言えます。

 しかし、これら全てがこなせなければゲームが作れないというわけではありませんので安心してください。ただ、あなたができる事が多ければ多いほど、より作れるものの幅、質に影響してきます。どれもまだできないというのであれば……ゲーム開発は目標に留め、まずは基礎勉強から始める必要があるでしょう。

2. プログラムはできますか?

 ところで、ゲームを作るための軸となる要素は「プログラム」です。ゲームプログラムができるかどうかで、まず最初の方向性が見えてきます。あなたがプログラム経験が無い場合、以下の3つのうちいずれかを選択する必要があります。

[a] プログラムを勉強する
[b] プログラムは他の人に任せる
[c] プログラム不要の「ゲーム開発ツール」を使う

 [a]は自動的に、直近のゲーム開発を諦め基礎勉強をするという事になります。
 [b]は……任せられる知り合いが居るかどうか次第です。また、複数人で作業をするということでチーム開発という方向性となり、プロジェクト運営能力が別途必要となってきます。
 [c]は、とても魅力的に見えます。今は良い時代になったもので、プログラム部分にあたる「ゲームエンジン」が広く公開されており、これらを使うことでプログラムレス、あるいはプログラムより一段階簡易な「スクリプト」を記述する形でゲームを作ることができます。
 ただし[c]のゲームエンジンは、特定のジャンルに特化しており、どんなゲームでも自在に作れるわけでもありませんし、ゲームシステムに不満があったとしてもいじれない事があります。これらに満足できなければやはり、自分たちでプログラムをどうにかしていくことになるでしょう。
 なお、プログラムレスの「ゲーム開発ツール」には以下のようなものがあります。(あくまで一例)

ツール名開発価格特徴
RPGツクール2000エンターブレイン¥4800オーソドックスなRPGが作れます
RPGツクールXPエンターブレイン¥4800高度なRPGが作れますが、カスタマイズする場合はプログラム技術が必要となります
RPGツクールVXエンターブレイン¥9800ツクールXPより作りやすいが後発の分ライブラリが少なめか
恋愛シミュレーションツクールエンターブレイン¥9800アドベンチャーゲームが作れます…が筆者未購入につき詳細不明
アクションゲームツクールエンターブレイン¥9800アクションゲームおよびシューティングが作れるようですが開発難易度が高いと評判
吉里吉里W.Dee無料AVG系の開発ゲームエンジンです(スクリプト型)
NScripter高橋直樹無料AVG系の開発ゲームエンジンです(スクリプト型)
ArcoeL無料NScrや吉里吉里は有名すぎるのでメジャーどころ以外からも1つ紹介を…。AVG作成ツール&エンジンです(スクリプト型)

 上記は一例です。
 無料と有料のものがあります。有料の類のほとんどはエンターブレインの出している「ツクールシリーズ」です。「無料のほうが良いに決まってない?」と思いきやそうでもなくて、「ツクールシリーズはデフォルトの素材も一緒に提供しており、自分で準備することができなければとりあえずそれを使って良いし、ソフトが完成したときにもこの素材を使ったまま販売しても構わない」という大きなメリットがあります。

 なお、ツクールシリーズはコンシューマゲーム機、携帯ゲーム機でも販売されています。しかしこちらは作成した作品の販売ができないとか、遊ぶ人間がエンジン部のソフトを購入しないといけないなどの制約があったりとか、そもそも作りにくいなどという問題があり、そもそもゲームをこれで完成させる人はほとんどいないそうです(苦笑)。「クリエイター気分を味わうためのソフト」という位置づけが妥当であり、当サイト的にはお薦めできません。

3. プログラムをしてみようという場合

 プログラムは決して簡単なものではありませんが、そのプログラミング言語の基礎を覚える程度であれば、そこまで難解なものではありません。ただし、基礎を覚えた上でさてゲームプログラムを始めよう、となったときに、実装しなければいけないことが沢山あり、ここは相当大変な思いをすることになることでしょう。
 しかし、こちらも救いの手というものがあるもので、今は各プログラム言語において、ゲーム開発をサポートする「ライブラリ」が公開されています。ゲームプログラミング上で必要になってくる面倒な処理(スクロール、スプライト、グラフィックエフェクトなどなど)をパッケージ化したもので、その多くは製作者の好意によって無料で提供されていたりします。もちろん自力で何とかするのもアリですが、これらを活用することで、製作にかかる日数は大きく削減することができるでしょう。

プログラム言語一覧(例)
言語導入費用特徴
.NET (C++など)Express版なら無料言語の基礎を覚えるまでちょっと大変だがゲームライブラリが豊富に公開されている
Delphi有償Visual C++よりもグラフィカルな作品が作りやすいがライブラリが乏しいので近年はゲーム開発プラットフォームとしては厳しくなってきている
Java無料ネイティブなコードを作るので、Windows以外でも動かせるゲームが作れるが、本格的なゲームを作るのにはあまりお薦めしない
PHP or Perl無料cgiベースのブラウザゲームを作る場合に覚えておくと良いかもという程度。基本的にはゲーム用ではない。
HSP(おすすめ!)無料元からマルチメディア作品を作るための言語として開発、公開されているためゲームプログラムに非常に向いておりライブラリも充実している。但し、凝りに凝るのであればC++系などの言語を使った方が良いかもしれない。
Flash有償ブラウザ上でゲームを作りたい場合に。通常のプログラム系スキルがあまり通用しないのが難点か。
ActiveBasic無料古き良きBasicを拡張したWindows用の開発プラットフォーム。古典的ゲームであれば作りやすいイメージはあるが本格的なものは厳しいか

 はじめてプログラム言語を扱う方であれば、まずは HSP(Hot Soup Processor)をお薦めします。

4. プログラム以外はどう進めていくか

 「はじめに」の項で挙げた、「プログラム」以外の要素……「グラフィック」「シナリオ」「音素材」「ゲームアイデア」についてはどうしましょうか。

グラフィック
 ゲームにはたくさんのグラフィックパーツが必要となります。主要なゲームジャンル別に挙げてみると…

ロールプレイングタイトル/イベントグラフィック/マップチップ/キャラチップ/フェイス/モンスターグラフィック/エフェクト/フレーム
アドベンチャータイトル/場面グラフィック/イベントグラフィック(一枚絵)/バストアップ/フェイス/フレーム
アクションタイトル/マップパーツ/オブジェクトパーツ/アクションパーツ
格闘ゲームタイトル/背景/フェイス/ユニットアクションパーツ/エフェクト/英数チップ
パズルタイトル/マップパーツ/オブジェクト/ユニット
戦術シミュレーションタイトル/フレーム/マップチップ/ユニットチップ/戦闘用ユニットグラフィック/エフェクト/フェイス

 これらを自分たちで揃えられるかどうか。自分も友人もそのスキルが無いということになれば、他から持ってくるしかなくなります。
 先に紹介したエンターブレインのツクールシリーズのメリットは、こうした素材を同時に提供しているため、自分たちで用意しなくても何とかなるというのがあります。(但しこの素材はあくまでツクールシリーズ用のものであり、他の目的で転用することはできません。)
 ただ、仕方がないとばかりにツクールシリーズを使うというのは、早くもジャンルやゲームシステムが限定されてしまうわけで、いろんなゲームを作りたいというのであれば、やはり自分たちで何とか素材を準備できるようにしなければいけません。
 幸いなことに、こういった目的のために使えるフリー素材を提供している人たちがいます。全てがそれで賄えるわけではありませんが、これらを活用すれば相当助けにはなると思います。
 ただ、フリー素材は基本的には「どうしても今回はグラフィックに手をかけられない」という時に活用すべきものであって、趣味製作の場合は、やはりぜひ自分たちで準備してみるよう努力してみることをお薦めします。どのようにしてグラフィックを描くか、についてはまた別の所で触れようと思います。

 ゲームジャンル的にはアクションゲームとパズルゲーム、アドベンチャーゲーム(ノベル系)が比較的に必要なものの種類が少ないか、何とか自分たちでこしらえやすいジャンルと言えます。アドベンチャーゲームはグラフィックそのものは必要ですが、それが現代が舞台であれば、外に出て写真を撮ってきて使う手があります。但し肖像権には注意しましょう。

音素材
 BGMやSEもゲームにはなくてはならない存在です。曲を作るのはそれなりに愉しい作業であり、未経験の方は一度挑戦してみることをお薦めします。しかしながら正直なところ、絵は下手なりに味が出るものの、曲はあまりにテキトーなものをゲームに組み込むと、「無音のほうがまだましだ」と不快に思われることもありえますので、実際に使うかどうかは慎重に判断すべきでしょう。

 幸い、音楽素材もフリーで使えるものが世の中には色々ありますので、どうしても自分達ではどうしようもない、という時はそちらを活用してみると良いと思います。
 当サイトでも過去には「フリーサウンド」というコンテンツで500曲以上のそうしたBGMを提供していた時期がありましたが、色々あって提供は終了しています。代替となるUSM(Useful Sound Material)という企画を開始しましたが、現在はまだとても役に立つレベルの分量ではありません。

ゲームアイデア
 どんなゲームを作りたいか、発想は自由です。じっくりとアイデアを膨らませてください。ただし本気でゲームとして完成させたいのであれば、実現可能なものでなければただの妄想、絵空事で終わってしまいます。自分たちの身の丈にあったレベルにしなければいけません。したがって、壮大なアイデアの中から難しいものは切り落としたり、或いはその一部だけを抜き出してゲーム化するという妥協の作業も必要となってきます。身の丈を見積もることについては開発経験をこなしていかないとどうしてもピンとこないところがありますから、ゲーム開発初心者であれば、まずは小さなゲームから開発していくのが良いでしょう。凄い作品のほとんどは相応の手間暇をかけて初めて出来上がるものであって、簡単に凄い作品なんて作れるわけがありません。しかし、自身あるいはチームの実力が付いてくれば、そうした作品も作れるようになるでしょう。アイデアを出す人は、凄い作品のアイデアは捨てずにメモとして残しておき、必要となるときまで大事に取っておきましょう。
 じっくり構えているうちにその凄いアイデアを他の人たちが発明してしまう可能性については、ほとんどの場合元から大したアイデアではなかったというケースがほとんどであって、じっくりと考えたアイデアは、案外何年も経っても他人の手の付かないところに残されているものです。
 なお、アイデアがあろうともこれを実現可能なレベルに落とし込み、なおかつ面白い作品として成立させる……こうした作業のことをゲームデザインと呼び、これを行う人をゲームデザイナーと言います。アイデアを出す人と同じであることも多いですが、別の人が担当することもあります。ゲームデザインはプログラムの一歩手前の作業であって、細かい仕様を決め、仕様書として書き留める設計作業です。開発全体ではまさに骨格となるべき部分であり、このCreationCollegeでは、アイデア〜デザインに関する資料を多く提供していく予定です。ぜひ色々参考にしてください。

シナリオ
 物語系のゲームを作るのであればシナリオテキストを用意する必要が出てきます。ノベル系やAVGであればむしろシナリオこそが主役作業となります。全般的に、ゲームクリエイターの方々はシナリオの技術がまだまだ不足気味であるように感じます。確かにゲームシナリオというのは若干特殊な領域の作業ではあるのですが、基本は劇作の領域に近く、劇作系や小説一般のハウツー本は普通に参考になります。(個人的には児童文学に関する本がとても参考になります)
 「理詰めの、計算されたお話ではなく、自由闊達な物語を書きたい」として、そうした本をはねつけるのも別に良いでしょう。むしろ優れた作品は自分の内にあるものを書き出すことによって実現できるものです。しかしそうは言ってもいざ物語テキストを書こうとするとうまく書けない、ではいけませんから、そうなったら躊躇わずに色々手にしてみると良いと思います。
 また、シナリオに一番の興味があるけれども、技法以前に物書き屋としての基本的レベルに達していないという自覚があるのであれば、ゲーム開発からは一旦は離れて、小説を読み、自分で書くという練習から始めるのも良いでしょう。幸い、物書きさんたちのコミュニティがネットには色々ありますので、それを活用し、周りから感想や指摘を貰うことで上達していけると思います。公開するのもまだ恥ずかしいという初心者の方には……とりあえず分量は自由で良いので、きちんと最後まで完結する小説を書いてみましょう。このアドバイスは多くの小説家の方がしています。そもそもストーリーというものは「始まりと中ほどがあって終わりのあるお話」ですから、終わりも書けないようであればストーリーを書いたということにならないわけです。

 ゲームシナリオと小説のテキストとは何が違うかというと、色々と違います。小説のような情景描写や人物の行動はゲームでは文字で表現されることはありません。省略されるか、グラフィックで演出するか、うまい台詞回しで補うことになります。演出面については、それを組み込む人たちとの折衝も必要となってきます。また、ゲーム用のテキストは、イベント部分だけ書けば良いというものではなく、町の人との会話(フレーバーテキスト)から、重要でないイベントに対してのテキストも準備する必要があり、思っているよりも作業量は多くなります。

 CreationCollegeでは、ゲームシナリオに限らず物語を書きたい方のためのいろいろな資料を提供していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

5.終わりに

 ここでは概要のみ紹介しました。当サイトには各作業に対してもう少し詳しい記事も置いてありますのでそちらもあわせてご覧下さい。

 ともあれ、ゲーム開発はそれなりに楽しく、しかしながら始めてみると相当な難産となる作業です。しかしその分、完成させたときの喜びもひとしおです。趣味で作るのであれば、時間は十分にあるはずですから、焦ることなくじっくりと始めてみてください。



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