Creation College 2009
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ダウンスケールクリエイティング

ダウンスケールクリエイティング
素材を作るのに悩んでいるゲームプログラマのための記事
- / Update: 2009/05/24 00:31:17

背景
 個人でゲームプログラミングをしていると避けても通れないのがグラフィック素材の問題です。頑張って作ろうとするも難しくて製作が進まなくなってしまう人、画力ないから無理だ!と諦めてフリー素材を探しまくる人、知り合いに頼む人など、多数いると思います。
 グラフィック素材というのは大別すると4種類、[1]背景 [2]キャラ絵 [3] チップ絵(マップチップ、キャラチップ) [4] その他のグラフィック(バナー絵、フレーム画像など)に分かれます。
 [1]については、一から自作するのであれば美術的作画力を必要とします。但しゲームによっては実写画像などの加工で済ますことができたりもします。
 [2]については、漫画的画力を必要とします。どうしようもなければ一切用意しない、という手も成立しえます。
 [4]については、四角形作画や文字加工など、ドローツールの延長線上的作業であり、多少のセンスやスキルを必要とするもののこれは慣れの問題です。

 ACTやRPG、SLGなどでは一番問題になるのは [3]のグラフィック素材です。これはドット絵技法という独特の技術力を必要とするもので、[1]や[2]の画力とは異なるものです。頑張れば少しずつコツを覚えることはできますが、作画にはかなりの時間を擁します。たとえばあるRPGのマップチップが「芝1」「芝2」「岩山1」「海1」……などなどの256種類からなっていたとして、1種類用意するのにたとえば20分掛かると仮定すると85時間。1日に2時間ずつ作業しても43日間も掛かるという大作業となります。これを嫌気してフリー素材を探しに走ったりするわけですが、1995年よりもっと昔のゲームクリエイターたちはどうやって解決していたかご存知でしょうか? 1995年以前というのは、インターネットのない時代を意味します。フリー素材を探そうにもそんなものは決して転がっていませんでした。

 昔のクリエイターたちは根性があったから? ブブー。
 正解は、昔はドット絵を描くのがそこまで難しくなかったのです。どういうことか? 昔のPCはスケーリング、つまり画面解像度が低かったのですが、そのため、1マスを構成する情報量が少なく、要するにファミコン時代のボンバーマンだとかDQIIIの勇者のスプライト画像だとか、あのあたりを想像して貰えれば分かりやすいのですが、要するに画力があまり無い人でも何となくで描けてしまったのです。

デバイス毎の画面解像度(単位はpixel) ファミコン: 256x224
MSX: 256x192(Screen1)〜256x212(Screen5)〜512x212(Screen7、インターレス)
SFC: 256x224(ノンインターレス)〜512x478(インターレス)
PS1: 256x224(ノンインターレス)〜640x480(インターレス)
X1: 640x200
FM-7: 320x200(多色表示モード)〜640x200(デジタル8色)
PC-8001: 640x200
PC-9801: 640x200(88互換モード)〜640x400

現在のPC: 画面解像度的には800x600(SVGA)〜1024x600(WSVGA)〜1280x800(WXGA)
 但しゲームウィンドウの解像度は 640x480(VGA)、あるいは800x600 が主流

 640x400以上となった時代では1マス=キャラサイズと言えば32x32pixelですが、MSXの256x212時代においては1マス=キャラサイズは16x16pixelを意味しました(ファミコンも同じ)。しかもMSXにおいてはプレイヤーユニットとなるスプライトは2倍角表示がサポートされていて、たったの8x8のドットデータを書くだけで16x16領域に表示され、わずか数分でキャラをさくさく作っていけたのでした。
 しかし現在の32x32基準ではこうはいきません。勿論手抜き気味に描けば数分で作れますが、そういった絵は8x8や16x16の時に比べてひどくいい加減な印象を持ってしまうわけで、だからこそ皆さんはドット絵に難儀しているわけです。

そこで、ダウンスケーリングを提唱してみる
 低解像度なら作りやすいというのであれば、現在のゲーム製作にもこれを適用するのもアリなのではないか、と私は考えています。
 つまり、マップチップにしろキャラチップにしろ16x16で描き、ゲームに実際に使う時にはこれを2倍の32x32に引き伸ばして使えばいいわけです。なぜRPGツクール2000の解像度が320x240だったのか。全てこの理由だったかは定かではありませんが、ダウンスケーリングにより素材を描きやすくしていた意図は間違いなくあったと思われます。RPGツクールXPでは標準の640x480に戻り、「細かくなった!」とまるで進化したかのようにPRされていましたが、作画難易度が一気に上がってしまったのは言うまでもありません。まあ、同人などで販売したい人にとっては、より細かいほうがいいのは当たり前なことで、流れとしては仕方なかったとは思いますが。

 ともあれ、ドット系のチップに困っている人は、思い切ってダウンスケーリングして素材を自分で描いてみることをお薦めします。慣れてくればひょっとしたら、32x32もスルスルと描ける様になるかもしれませんよ(*゚ー゚)
 なお、ドット系はダウンスケーリングしても、キャラ絵の類だけは普通のスケーリングを使いましょう。RPGツクール2000の弱点はキャラ絵もダウンスケーリング化されていたことなのですよね…。

改題: RPGツクールVXのナゾ
 余談ながら、MSXの解像度系は、16で割ってみると分かりますが16x13マス(ファミコンであれば16x14マス)。ところで640x480のVGAは32x32で割ると20x15と大きさが違います。この16x13を基準マスと見なすと、20x15はやや1マスが細かく見える=小さく見えてしまうわけです。どうやらRPGツクールVXはこのあたりの問題を調整しようとした節が伺え、画面解像度が544x416という変則的なものに設定されています。これは、1マスを32x32で見立てた場合、17x13となります。これはMSXの解像度系とほぼ等しい。さらに言うなればRPGなどでは主人公は画面の中心マスにいるのが基本ですから、そうであれば縦横とも奇数マスであるほうが望ましく、つまりMSXの基準マスを補正して採用したと見なすことができます。
 ……だと超カッコイイですね。実際は単にMPEG-4でよく使われている4:3系の解像度(これが544x416)を採用しただけなのかもしれませんが、そうだとしたら図らずもゲーム的にしっくりくる解像度になっていたといったところでしょうか。



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