Creation College 2009
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RPGバリエーション考察

RPG研究/バリエーション考察
RPGの基礎軸から外れる、あるいは延長線上を突き詰めたシステムは成立するか?という話題。
初出:2009-05-20 / Update: 2009/05/24 00:32:33

 まじめな考察からちょっとおバカな考察まで、疑問系のトピックを立てて考察していきます。


2009/05/20 version


セーブロードを抑制させられるか

 セーブロードを多用するとゲームの難易度が楽になるわけで、これをある程度抑制したい場合のお話。
 死亡時に自動的にその状態のセーブをかける「ウィザードリィ方式」は有名ですが、これを導入するとあらゆる行動がおっかなびっくりとなり、ゲーム的に別物になってしまいます。もう少し緩やかに、しかしセーブロードの回数を制限させることはできるでしょうか。これについては昔のARPGである「ザナドゥ」などで実装されていましたが、「セーブするには特定のアイテムが必要で、ない場合はカルマポイントが増えてゲームクリアに支障が起きるようになる」など。ただしこれも若干なりこわごわしてしまいますので、もう少し他の検討も必要そうです。
 これはアイデア次第で色々あると思います。「この敵に出会って以降、x回以下のロードで倒した場合はxxxというアイテムを得る」とか、ロード1回毎に一定のアイテムあるいはお金を減らし、払えなかった場合は全滅と同じ扱いでリスタート、などなど。
 RPGではありませんが、セーブすると自動終了する上、次回ロード時に自動的に1日が加算されるアドベンチャーゲームがあったりします(「神宮寺三郎シリーズ」)。ロマンシング・サガでは日数経過毎に敵が強くなったりしましたが、このあたりと絡めるのもアリと言えばアリだと思います。

時間制限付きRPGは作れるか

 こちらは先例が色々あります。「あるイベントで時間内に目標を達成しないとゲームオーバー」というものと、「イベントと関係なく一定経過経過するととんでもない事になるもの」と2タイプありますので別々に考えてみましょうか。

 前者はシステム全体としては時間の概念は不要ですが、特定のイベントにおいて「爆弾をセットしたので急いで脱出せよ!」という状態になり、フィールド移動&戦闘しながら逃げるという類のもので、FF7などでお馴染みだと思います。この手のはやや緩く作られていることが多く、特別な緊迫感を与えるために用いられます。制限時間をきつくする事もできますが、それは手さばきが必要だったり、覚えゲー的要素が必要だったり、戦闘をすぐに終了させるためにレベルを高くする必要があったりと、これはまったりゲームを楽しみたい人からすれば嫌いなパターンと言えるため、頻繁にRPGに取り入れる事は推奨されない面があります。
 後者については、ロマンシング・サガのように、徐々に敵が強くなってくる(&時には城が崩壊しているなどのイベント連動もある)パターンが有名でしょうか。但しこれも、まったり志向のユーザには厳しいものがあります。

 また、長期的なゲームオーバータイムを設定している作品もあり、FCゲームの「消えたプリンセス」などが挙げられるでしょうか。ジャンル的にはAVG+ACT+RPGという複合系であり純粋なRPGではありませんが、「人々が馬鹿になる伝染病が60日だかで蔓延する。そうなるまでに姫様を見つけてくれ」という舞台背景が設定され、日数経過するごとに町の人々が馬鹿になっていき、目標達成できないとゲームオーバーとなってしまいます。
 ゲームオーバーにはならないものの、一定期間内に塔から脱出しないと時間が撒き戻りレベルドレインするというRPGも過去に存在しています(カオスエンジェルズ)。この作品の場合はその仕掛けを把握・活用しつつ塔に入ったり出たりするというリドル性も若干ありました。
 RPGはまったりとマイペースで進めたい人が好むゲームジャンルであるが故に、この手の仕掛けはあまり好まれない面はあります。しかし、制約を緩めにするか、あるいは作品背景的に不可欠な要素であれば、承知の上でゲームプレイしてくれるわけで、そうなれば一転、普通のRPGと違う楽しみ方が味わえるようになるわけです。

食糧・食事のシステムは取り込めるか

 これについてはいくつか模索の先例があるようです。まず、積載型にしてフィールド等を一定時間歩くと減らしていき、0になったら飢え死に。実装の先例は古くウルティマにすらありましたが、相当に積載できたので実際には気にする必要は殆どありませんでした。この量を規定することで、別のシステムへと発展できます。すなわち、「食料の続く限りの道のりしか歩けない」「半分なくなったら引き返さないといけない」という探索的限定要素が生まれるところ。ゲーム序盤は積載限界は低めで後半は多くしていけば行動範囲が広がるという寸法です。私がコミケットで昔頒布した「コズミックアーク」にはこの考え方が搭載されています。食事ではなくエネルギーという概念でしたけれど。元はといえばスタートレック(PCゲーム)からの転用アイデアになるのかもしれません。
 食事システムのほかの模索として、料理を食べると体力や精神力が回復するのみならず、一定時間、特定のパラメータがUPするというものもあります(テイルズ、マビノギ)。
 また、ディアブロに使われていたシステムですが、赤ポーション→目標値に向かって少しずつ回復していく、紫ポーション→一瞬で回復する、という回復アイテムの種類があったと思いますが、この前者を料理として転用することが可能と思われます。すなわち、料理は食べたのち、歩くことで一定時間までの間、少しずつHPが回復していくというもの。「大きな傷が薬草などで一瞬で治るなんてありえない」という不自然さも、「少しずつ治癒していく」という仕掛けにすればそれなりに自然に見えてくるはずです。料理アイテムの違いはどう作用するか? 最終的な回復量やスピード、あるいは一定時間パラメータ系に影響する、というマビノギ方式を採用すると良いかと思われます。 

トイレのシステムは取り込めるか

 全て人間のやることをゲームに取り込むべき必要はありませんが、かといって不要と決め付けてしまうのもどうでしょう。ドラクエ型のファンタジーでは難しいですが、文明レベルが高い世界観の場合、立ちションで罰せられるような規定が設定されていれば道端でしーしーするわけにもいかず、一定時間過ぎてもトイレにいかなかった場合はステータスにペナルティを受け続けるだのやっても面白い気はします。
 先例はありまして、はるか昔にMSXの投稿ゲーム「まものクエスト」(TPM-CO Softworks)がトイレシステム(一定時間ごとにトイレに行く必要がある)を実装していました。
 まあ、単に邪魔なだけのシステムというのは一発芸的には良いとしても恒常的には嫌われてしまう問題もあるので、そのあたりの配慮は必要でしょう。

戦闘のないRPGは成立するか

 戦闘はRPGの醍醐味であるためこれを抜かすことはRPGとしての面白さの半分を奪う行為だと思われます。そもそも戦闘がなければステータス面の成長もせずRPGの基本要件も欠落し得ます。しかしそれにも関わらず、RPGのゲームシステムを用いた戦闘のないゲーム自体は成立させることは可能と思われます。この場合戦闘の代わりになる面白みが必要となります。謎解きであったり、ドラマであったり、スリルであったり。コンパイルの「トムの冒険」が戦闘レスのRPGシステムに該当する作品ですが、これはむしろ平面移動系のアドベンチャーゲームと呼ぶほうが相応しそうです。
 他のジャンルへの横滑りをすることなく戦闘もなくRPGというジャンルを保とうとするならば、TRPG用語で言うところの成功ロールが必要な局面を多数発生させ、それにより経験値などを得られてステータスアップし、後続の成功ロールを有利に導いていくというゲームスタイルになるでしょうか。

5人より多いPTで成立するか

 論理上は5人だろうが8人だろうが成立しますが、戦闘の手間隙が酷いことになります。「ブライ」などでは8人PTが組めましたが、1ターンの戦闘に相応の時間が掛かることよりもコマンドを入れることがもう面倒くさくてしょうがなく、さりとてオートにすると何も考えずに攻撃しかせずに使い物にならないとか。
 何にしても、コマンド入力は3人、多くても4人がストレス的には限界でしょう。それ以上のプレイヤーキャラを扱うのであればきちんとしたAI戦闘機能を搭載させる必要が出てきます。
 あとは、ゲームインタフェース的にもちろん、5人以上のPTをサポートする必要があります。ドラクエの影響が強すぎるせいかどうもRPGは4〜5人までしかシステム・シナリオでサポートされない事が多いわけですが、巨大な魔軍にたった4,5人で歯向かおうとすること自体ちょっと少ないとは思いませんか?
 アイテム管理を簡略化させたり、ステータスの視覚化対応(数値だとパッと見で管理できない)など、プレイヤーへの配慮は必要になるでしょうけれど、十分試す価値のある拡張であると考えます。

宿屋の全回復は妥当か

 全回復しないなら2回泊まるだけの事になれば、手間がかかるだけで微妙ということに。従ってRPGでは全回復して構わないとは思いますが、イベントにおける休息での回復は全回復であるべき必要はありません。テーブルトーク的に言えば「6時間睡眠は生命度+Lvだけ回復」とかそういうルールが大抵規定されています。回復量を制限することにより、プレイヤーは無駄な行動を慎むようになることでしょう。それが良いのか悪いのかはどちらともつきませんけれども。

回復のいらないRPGは成立するか

 「相手は常にHP全開なのにプレイヤー側は連戦で消耗してて不公平!」という発想なのかはともかく、1戦闘毎に自動的に全回復する類のRPGは一応成立しますし、いくつか存在しています(グランシード)。この場合、大魔法などのスキル攻撃が遠慮なくジャンジャン乱れ飛ぶことになります。HPだけ回復させMPは消耗のままという限定的な実装にするのも可能かもしれません。
 まあ、リアリティで考えれば連戦すれば消耗するほうが当然のような気はしますが、このサクサク感はありなのかなと思うこともあります。

お金がすり減っていくRPGはありえるか

 コンピュータRPGでは宿屋にしろ武具購入にしろ、使わないとお金というものは減りません。ところが地上の敵を倒しているだけでも宿代の数倍のお金が手に入るため、宿代の負担を感じることなく基本的に増えていく形でゲームプレイができています。しかしテーブルトークRPGでは、食費は掛かるわ宿代は高いわ、外で敵を倒してもお金はあまり手に入らないわでしばしプレイヤーが困窮することになります。これは依頼を受けさせる形でシナリオを進めるためのGM側の仕掛けでもあるのですが、コンピュータRPGにもこういった考え方は適用できるような気がします。すなわち、フィールドの敵と戦って経験値は入るけれど、そのままだと飢え死にするので洞窟でも行ってきて金目のものを漁るとか。こうすればシナリオ的にまったく重要でない洞窟などにも存在価値が出てくるというものです。
 これを成立させるためには、宿代を高くするだけでなく、他にも何か、町や城や砦通過時に通行税を徴収するなどの仕掛けも取り入れてみると良いかもしれません。

移動のないRPGは作れるか

 RPG的にはゲームの目的に舞台の移動というのが欠くべからざるように思えますが、テーマを限定し、たとえば防衛戦を想定すれば舞台範囲を極端に制限することができます。しかし常識的に構築すれば砦の中の各地点くらいは移動することになると思われますし、本当に無移動となると後は会話と時間経過と戦闘しかやることがないわけで、それで楽しいものが果たして作れるのかどうか。実験的には模索の価値があるかもしれませんが、商品的にはありえないような気がします(笑)。

平面移動でも3D移動でもないRPGは作れるか(ARPGは除く)

 2Dジャンプアクションの形式を取りながら、敵はRPG的にランダムエンカウントするゲームは一応実在しました(たこの海岸物語)。また、AVGのインタフェースのままで、場所移動時にエンカウントチェックを行う作品も少数ですが実在しています(クレオパトラの魔宝)。
 また、サイドビューかつジャンプができない横スクロールタイプで、扉などは上キーで入って別の層に移動するタイプのRPGもほとんど例はないながら成立しうるようです。(過去にいくつかプレイした記憶がありますが確証が持てないのでタイトルの例示は控えます)
 感覚的に、ひたすら右に進めばクリアできるようになっているのですが、進めば進むほど敵のレベルが上がっていくためあまり無茶はできず、たまにイベントシナリオが発動したり、扉が閉まっているので戻ってみたりなど。なるほど上下左右移動型でなければならない必然性は無いようです。むしろサイドビュー型はグラフィックに凝れる(多重スクロールも可能)というメリットもあります。

ザッピング/ループRPGはどれくらい面白そうか

 AVGの分野で一時流行ったキーワードに「ザッピング」と「ループ」がありました。
 「ザッピング」とは、選択肢が多くマルチエンディングを取るアドベンチャーの仕掛けの一つで、特定のENDを通過すると、他の進行ルートが出現するというシステムです(「かまいたちの夜」)。
 また、「ループ」とは、一定期間内に特定の条件・目的を満たさないと時間軸がまき戻る、あるいは主人公が意図してその最初からやり直しができる仕掛けを指します。この繰り返しの際はアイテムだったりステータスだったりが引き継がれていたりするため、まったく無意味な繰り返しにはならない所がゲームのキモとなります。(「Prismaticalization」「メロディ-恋のメッセンジャーガール」など)

 この仕掛けはRPGで取り込む事は可能と思われます。但し、長い長いゲームの場合、クリアした時点でユーザは満足してしまいまうもので、ザッピングAVGのように何度も繰り返しをしてくれるとは限りません。特に「時間をかければその分レベルアップという形で報われる」というのがRPGの基本軸であり、これを巻き戻すとか初期化するというのではやっていられなくなります。この問題を消化しなくてはいけないと考えられます。
 ぱっと考えて適用しやすいのは、「メロディ」で使っていた手で、「マルチエンディング式で、クリアして最初からやり直しできるがステータスはそのまま引き継ぐ」という手。ただし武器防具などは矛盾を避けるために初期状態に戻すなりの措置は必要になるでしょうか。
 ただ、単なる終盤分岐型のマルチエンディングであれば、このようなゲームシステムに頼らずにセーブロードだけで対応できてしまうのでありがたみがありません。従ってこの仕掛けを使う場合は中盤あたりで重要な分岐が発生する作品用にするとか、ザッピング要素も絡めて別ルートへの道が選択可能になるとか、色々と考えておく必要があります。また、なぜこのような仕掛けを取り入れたのか、アイデア上の問題というよりももむしろ世界観レベルでプレイヤーが納得できるようにするものが作れれば、大変面白いものが作れるのではないかと考えられます。

キャラの分離を行えるRPGは有効か

 ストーリー展開上PTメンバーを入れ替えたり、イベントに入ると主人公だけ一人ぼっちという展開はよく見られますが、探索中などに意図的にPTを分離することができたらどうでしょうか。もちろん戦闘においては圧倒的にデメリットとなりますが、たとえば「ドラキュラと3人で戦い、もう一人は奥の部屋の十字架をその間に取りに行く」などという展開が可能になります。(これを実現する場合、戦闘と通常移動との変則的な切り替えが必要になりますが)
 これらをパズル・リドル的に高いレベルで昇華した傑作がカプコンの「スゥイートホーム」だと思います。
 視点切り替えというアイデア的には、古くはAVG「新・鬼ヶ島」あたりからありましたね。

正体不明のモンスターは有効か

「な、なんだこの敵は…?」
「むぅ。もしやこれは伝説の…」
「知っているのか、雷電」
 有名なネタはさて置いて、巷のほとんどのRPGは初めて見た敵さんでもすぐに「ヒートギズモがあらわれた!」「とか「サハギン 6匹」とかシステムが勝手に正体をバラしてしまいます。そうするとユーザは「ああ、ヒートギズモか…」とさっそくヒャドをぶつける準備をするとか、攻略サイトを見て相手の呪文を確認しておいたりしてしまいます。しかし、モンスターの存在をもしも主人公たちが知らないのであれば、こういった情報はプレイヤーにも隠したほうがいいような気がしませんか?
 TRPGにはこのような考え方が盛り込まれており、初めて出す魔物についてはプレイヤーたちに知識判定をしてもらい、その最高値によってゲームマスターがその魔物についての情報を出すことになります。目標値を大きくオーバーした場合は「そのプレイヤーにとってはよく知っている相手」として名前・姿形・攻撃手段・弱点なども提供しますが、目標値ギリギリであれば名前のみ。逆に目標値に達しなかった場合は「獣」とか姿かたちだけの情報提供にとどめ、目標値を大きく下回る場合は「近づいても大丈夫な類の動物のようだ」と嘘情報を教えるようになっていたりします(笑)。
 コンピュータRPGではこのようなシステムを取り入れているものは稀であり、しかも部分的なものに留まりますが、しっかり取り入れてみるなら例えば以下のような感じになるでしょうか:

[1] はじめて出会う敵に対して知識判定を行う。判定はプレイヤーキャラの賢さステータスを基準として若干ランダム値を補正する。成功すれば名前、姿かたちとも公開する。
[2] 知識判定に失敗した場合は失敗リストに格納される。敵は「妖魔」あるいは「獣」などと表示され、形状も暫定的なものを使う
[3] 不明状態の敵は「対処方法がプレイヤーたちは分からない」ものとし、敵生命力、素早さに3割の強化を施す。
[4] 街にいる古老あるいはモンスター研究家に金を払う事で、不明モンスターの正体を知る事ができる場合がある。
[5] いくつかのモンスターは誰も知らないことがあり、これは特殊な書物などを読むことで知る事ができる。
[6] 特定数倒し続ければ不明状態の敵であっても「この敵の特徴を掴んだ!」と表示され、不明状態を解除することができる。
[7] 不明状態でもかろうじてインパス系の魔法によって相手の属性やHPくらいは調べることができる。

 DIABLOやPSOにあった鑑定品の概念がモンスター側に持ち込まれたようなものだと思っても良いかもしれません。この仕組みだけで単純なRPGでも途端に独特な雰囲気で進められそうですね。ぜひお試しを。



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