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■ アドベンチャーゲーム考 - Updated: 2000/10/20
∇ Attention
[※1/ADVENT]
[※2]
[※3/ロマンシア]
[※4/少年魔術師インディ]
∇ 感想
∇ ちなみに
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このCreationCollegeを読むまでは、アドベンチャーゲーム(以下AVGと略すことあり)という言葉そのものを知らなかったという人は殆どいないかと思いますが、生粋のアドベンチャーゲームをあまりプレイしていない人もまた多いのではないでしょうか。 有名なAVGと聴くと出てくるのは、堀井裕二の「ポートピア連続殺人事件」(これは生粋)、あとはサウンドノベルと呼ばれる「かまいたちの夜」「弟切草」、或いはビジュアルノベルと呼ばれる「痕」に「雫」、あとは「Kanon」とか「AIR」うんぬん(以上は生粋ではありません)。特に最近のものは、文字通りビジュアル(絵)とサウンド(音楽)それと文章を柱とした、一本道的ストーリーが多く、これはアドベンチャーゲームの形態のごく一部にしか過ぎないのに、これがストーリーものゲームの基本形だと誤解してしまいそうな位です。現実にプロの作品ですら、VN形態にするとかえって面倒他ならないものを、その他の形態を失念してVNとして作り、失敗しているものも多く見受けられます。 形態そのものを知らないのでは、VNにはVNなりの特性があるんですけどねえ、と指摘した所でどうしようもありません、よってここでは、AVGについて徹底的に知ってもらう事を目的に、色々と記事を書いていこうと思います。
アドベンチャーゲームの「アドベンチャー」とは何だろうと翻訳してみて、ハテ「冒険」?と首を捻った方、きっと居ると思います。それから英和辞典をさらに調べて「(珍しい)経験」を見つけ、ああ物語を疑似体験するゲームのことかと納得した方がいるかは分かりませんが、それは実際的には非常に正しく、しかし名付けの意味を誤解しています。この真意は最初のとおり、「冒険」で良いのです。 なぜなら、このアドベンチャーゲームの始祖とされるゲームがすべて、地上探索や洞窟探検などの冒険モノだったからです。おまけに、始祖のゲーム名は「ADVENT」であり(※1)、このタイプのゲームが初めてヒットしたタイトルが「AdventureLand」でした。ゲームのシステム的には、「文章を読み、行動をプレイヤーが選択する。その行動に従った結果の文章が表示され、これを繰り返す」ではあっても(暗黙的なAVGシステムの根本定義)、何を目的としたゲームかというコンセプトの方が大きく評価され、いつのまにかこういう名前が付いてしまったというわけなのです。 実際、当初爆発的にリリースされたAVG作品のほとんど全てが冒険系でした。システムとコンセプトは一体化していて、誰もアドベンチャーゲームという名前に眉を潜める人もいなかったのです。 ところがやがて、違った傾向の作品が登場してきました。人間生活のシミュレート、あるいは原作付きの小説や物語を移植したもの等(「アリババと40人の盗賊」/1982年、など)。ここに来て、コンセプトがシステムから分離し始めたのです。最終的にコンセプトの名残だけをジャンル名に留め、実質的には先に挙げたシステムに沿う作品をアドベンチャーゲームと呼ぶようになったのです。日本においては。(※2) 別にこういった事はAVGに限らず起きている事だと思います。HPがヒットポイントの略だと知っていても、では「ヒット」って何だろう?と知らない人が沢山いると思いますがこれもまた同様です。 せっかくだから紹介しておきますと、ヒットはライフの裏返し、「そのキャラクターがあと何撃受けると死ぬか」を示す指標で、もとはD&D等のTRPG用語でした。この意味が亡失されたままDQ等に移植され、結果、これを単に生命の数値と捉えられてしまい、HP1200という存在が認められたり(1200回も打撃を与えないと死なない人間なんていませんね?)、0になっても単に気絶だけで死なないゲームが登場するようになりました。本来の意味から考えると正しくない事です。
ところでコンピューターAVGの始祖は「Advent」だと先ほど書きましたが、このリリースが1972年であることについてもう少し語るべきでしょうか。とりあえず鷹月はまだ生まれてもいません(^^;)。その後もAVGは次々とリリースされていきます(アメリカでの話ですが)。その後ヒットした「Adventureland」は1978年、また大ブレイク し、実質的にジャンル名を確定させたアタリ社のAVG「Adventure」(まんま!)が1980年です。年代だけ書いてもパッとこないかも知れないので、有名な黎明期の作品を並べてみますと……。
「Donkey Kong Jr.」 (1981):日本のゲームデザイナーの第一人者、宮本茂さん(マリオにゼルダ)の出自作です。 この通り、これらのゲームよりずっと前に出ていたゲームというわけで、実はコンピューターゲーム、あるいはゲーム業界全体……を押し上げたのは、アドベンチャーゲームに他ならなかったわけです。注意して年表を追って見ると、AVGからRPGやACTに作品比率が移行していく様を確認することができます。
AVGは自然発生的に登場してきたものではありません。コンピュータゲームの登場前から存在していた「ゲームブック」を母体としています(当初はゲームブックとは呼ばれていなかったとは思いますが…)。外見は本そのものですが、読み進めていくと、途中に選択箇所が出てきて、選択によって次に読むページを指定される、というものです。皆さんも小学校の頃に遊んだ経験はありませんでしたか?「王たちの墓」とか。これも語り始めるとかなりの分量になってしまうので機会は改めますが、「ロマンシア」とか(※3)、いろいろ遊びましたね~。鷹月にとっての、ファンタジーの手ほどきとなった作品「少年魔術師インディ」も、このゲームブックでした(※4)。 AVGの基本システムは、このゲームブックの進め方に、「いちど選んだ選択は、基本的には変えることができない」というメディアならではの特性を加えただけといえます。ゲームブックは、ズルをすれば、いかようにも自分の都合の良い方を選ぶ事ができましたからね。たまに、「ここに来れるプレイヤーは居ないはずです。あなたはズルをしましたね」と本に見透かされた事もありましたが(笑)。
昔の話はいったんここまで。そのうちまた、個々の旧作を取り上げることになると思いますけれど。 過去を振り返ると、実に様々なタイプのAVGが存在しています。進行形態についてのみ、「AVGの型分類」で紹介しておきましたが、あれでもまだ充分ではありません。全てを叩き込む必要はないとは思いますが、作り手さんは知っておかないのも困りもの。そういう人たちは結果的に、1-2世代前(具体的には1996-2000)の作品を参考にするわけですが、AVGにおいて1-2世代前のものって、個性あんまりないんですよ…。ストーリーを語る技術は明らかに進歩したと言ってよいのですが、シナリオ面はさして代わらないし、システム面は逆に退化しているし。 と、こうマイナス面を強調するとたまに反感買ったりしますけど、仕方ないんですよ…昔からAVGを大量にプレイしてきた私にとっては、最近のストーリーAVGが全体のせまっこい一部でくすぶっているようにしか見えないのです。 ともあれ第1回はここまで。AVGを総体的に解説および考察していくつもりですが、あまりに広すぎるので、具体的な進め方はまだ決めていません。要望などがあったら今のうちにメールくださいね。 - 鷹月ぐみな
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