Article: AVGの型分類
Article Upload: 2000/4/6 |
基本進行系
∇ 1次元的AVG
∇ 2次元的AVG
∇ 3次元的AVG
∇ 4次元的AVG
この概念を元に、それぞれを細分化してみました。以下、紹介していきましょう。 |
■ Type 1: ノンストップ型
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1次元的AVGの中でも、ほとんどスペースキーやマウスクリックの押下だけでゲームがプロローグからエピローグまで進んでいくもの。このタイプにおいても選択肢がたまに出ることもありますが、それはプレイヤーに擬似的に物語に参加させるための手段にしか過ぎず、別にストーリー分岐を起こすものではありません。俗に「オンライン小説」「電脳絵本」「電脳紙芝居」「デジタルコミック」とか呼ばれるものがこのタイプに該当します。 |
■ Type 2: ロープ型
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1次元的AVGです。ノンストップ型の派生にあたり、基本的には1本道なのですが、全く1本道じゃつまらんだろうと多少の分岐を加えたものです。選択肢によって一寸だけフラグが変化したり、フレーバー(展開に直接重要でない世界観情報)を得られたりするくらいで、あとはフラグによってゲームの最後、ごく少数ですがエンディングが分かれたりします。作り手の面から言うと接木的な理念が働いています。なおこのタイプには、誤った選択をするとゲームオーバーになる類のものが存在しています。 |
■ Type 3: おだんご型
![]() 1次元+2次元混合AVG。大まかな流れとしては間違いなく1本道なのですが、ある地域地域ごとに、複数の自由移動モードを許すフラグ立てAVGが発生します。自由移動と言っても、大抵は移動順が誘導されている事の方が多いのですが、ロープ型などに比べ、プレイヤーがかなり物語に参加している気分になり、かつ世界観のフレーバーを散りばめる事が可能になります。一連の自由移動の後にちょっとしたドラマイベントが発生する事が多く、それが終わるとまた自由移動と、文字通り「お団子型」に進行していきます。「ワイルドフォース」「ラジカルシークエンス」「JOKER」などがこれに属します。 |
■ Type 4: ザッピング型
![]() 1次元+3次元混合AVGで、AVGの中ではやや特殊な部類に属します。基本は1本道なのですが、選択肢が色々と登場し、これらの殆んどが何らかの形でフラグやパラメータに影響を与えます。しばらくは普通に進むのですが、あるポイント(チェックポイントと私は呼んでいます)で、今までの行動が参照され、それによって分岐するなりENDを迎えるなりするものです。作り手はさして苦労せずにゲーム性を与える事ができるわけですが、プレイヤーにしてみれば最後の自動分岐のために同じストーリーを何度も何度も見るのは苦痛です。よって、メッセージスキップは必須機能となってきます。 |
■ Type 5: 多分木型
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後ろに戻る事はないために、扱い上は1次元的AVGに属します。選択肢がとにかく沢山登場してきて、その選択により次々ストーリーが変わっていくものを指します。ゲームオーバー以外のENDが大量に存在し、1回のプレイは短いのですが、何度も何度も違った選択をして楽しむことができます。
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■ Type 6: 錠前付きおだんご型
![]() 1次元+2次元混合型。Type3のおだんご型の派生ですが、自由移動でフレーバーを与えつつドラマを挿入というのではなく、一つの関門(リドル)が与えられ、それを解くために場所移動を繰り返すというパターンを持ちます。関門を突破すると次の関門がまた立ちはだかる……ステージクリア型AVGという名前の方が分かりやすいでしょう。「調べる」コマンドで、画面をクリックさせるタイプのものの多くはこのタイプになります。「新・鬼ケ島」や「オーバーブラッド」、「デッドゾーン」がまさにこの例です。 |
■ Type 7: 区画内探索型
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2次元的AVG。舞台は基本的に1つないし少数の地域(町、洞窟、市など)で、プレイヤーは行動が認められている限り、自由な所に移動することが出来ます。基本的な進行は、いろいろ回っているうちにフラグが立ち、まだ別の場所で新しい展開が起こり……を繰り返します。探偵モノはほとんどこのタイプで、移動先の登場人物とはよく会うわけで、物語を進めていくにつれ、どんどん打ち解けていきます。(もしくは舞台の時間軸が進行する事により起こる諸々の出来事)で、ある日訪ねてみると死んでたり……というのは典型的なパターンですね。舞台が次々変わっていけば、おだんご型になるでしょう。 |
■ Type 8: 時間内探索型
![]() 時間型の3次元的AVG。形態はType7に近いのですが、何がしか行動するたびに時間が経過し、ある一定時間が経過したときにその進行度合いによって分岐もしくは条件を満たさなかった場合のゲームオーバーが発生します。プレイヤーはその間に最も良さそうな行動を取らなくてはいけないので、ゲームにスリルが出てきます。但し、プレイヤーが製作側の意図通り動いてくれる保証はどこにもなく、バランス調整によっては難易度の極めて高い、ヒドいゲームになりえるので注意が必要です。なお「OK」が出た場合、また次の探索モードに入ることが多く、全体としてみると、どことなくおだんご型になります。「ブルーシカゴブルース」がこの良い例でしょうか。また、直接ゲームオーバーにはならないものの、悲惨な展開を生むのが「遺作」。あと、ゲームの一部にでしたが「TANIA」もこの概念を持っていました。 |
■ Type 9: マルチステータス型
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こちらも時間型の3次元的AVGです。ある一定期間、主人公は色々行動をします。それによって、キャラクターもしくはルートそれぞれに対するパラメータ値に変化が発生します。期間終了後に、複数のキャラクターもしくはルートの中で、最も条件を満たしていたものが選ばれ、そのエンディングへと続いていきます。恋愛AVGとか恋愛SLGとか呼ばれるものの大半がこれに属します。 |
以上、現在世に出ているAVGを9タイプに分類してみました。これで9割以上は網羅できているはずですが、YU-NO(4次元的AVG)を始めとした例外や要素複合型などがあり、決して全てではありません。それはそうと、ここで一つ重要なのは、これらの中で「どれが素晴らしい」とは一意には定義できない事です。それぞれに特質(得意な分野)があり、それを活かすことによって、初めて評価される作品が出来上がるのです。そういう特質を無視して、何となくボリュームが薄いから分岐つけてみようか、等といった考え方は、プレイヤーにあっさりと見破られるものです。この記事を参考にして、製作コンセプトを固めてもらいたいなーと思います。 - 鷹月ぐみな |