1-1.プレイヤー集う

さだめのシグナル / 1-1.プレイヤー集う

Article Written: 2006/02/04 01:59:05

 1994年1月4日。
 時は正月の朝早く。5人の男たちがテーブルを囲んで座っていた。
 何をする気だろう? そこにはゲーム機があるわけでもなかった。
 おもむろに一人の男がテープレコーダーを取り出して、その中にテープを入れる。
 そして録音のスイッチを押した……

ゲームマスター鷹月ぐみな(以下GM)「はい、本日はようこそお集まりくださいました。新年早々のTRPG大会を始めます。早速キャラクターシートを渡します。今日行うテーブルトークはまたしても『サイラジア・ワールドRPG』です」
プレイヤーD「サイラジアかあ。サイラジアの通算シナリオはこれがいくつめだっけ?」
GM「4回目。1993年7月21日が最初だったかなたしか。だいぶ僕も慣れてきたよ。まあともかくキャラクターを作成していってね」

 そういうわけで、サイラジアRPGのセッションの始まりです。
 このプレイはまだ、サイラジアのルールブックが発行されるより前に行ったものなのでルール的に未熟な部分がいくつかあったのですが、そこは目をつぶってください。
 本日のプレイヤーは全部で4人。そのうち1人はなんとテーブルトークRPG初挑戦。彼にとっていいセッションになればいいな……
 と思っているうちにどうやらキャラクターが出来上がったようです。

GM「それじゃあ、自己紹介をしてね」
プレイヤーB「名前はバンジー・ローズ。年齢は17歳だけど、ナメてると怖い目に逢うわよ」
GM「なんで?」
「酒乱だから。……17歳だってのに(笑)」
プレイヤーC「じゃ次ね。バーモント・ハニーです。種族は人間で、性別は女で〜す。精霊使いで、聞くも涙、語るも涙の≪暗い過去≫がありま〜す」

 『サイラジア』には、「ガープス」でお馴染みの「特異点システム」が取り入れられています。
 例えば彼女(プレイヤーC)の取った特異点の一つに「暗い過去」は、それが行動に制約を加えられる可能性があるものなので、自分にとってはマイナスの特異点と言えます。するとその分のボーナスとしてポイントが与えられ、そのキャラクターは技能的に強くなることができるわけです。
 同時にまた彼女は精霊使いを選びました。これもまた「魔法使いの才能」という特異点を取らなくてはいけません。これは自分によって有利な特異点であるため、技能ポイントはそのぶんペナルティが加わることになります。

プレイヤーD「えーと、ランスです。どこかの鬼畜戦士とは違いマジメです……たぶん。ともかく、この人も≪暗い過去≫がありまして、誰かさんに追われています。まあひとまず安心なところまで逃げてきたんですけど……で、今は隊商の護衛なんかをやったりして暮らしています」
GM「OK。あとは初挑戦のA君だけだね。こんな感じでキャラの自己紹介をよろしく」
プレイヤーA「え〜、アイオスと申します。種族は人間、性別は男、年齢は19で、まぁ欠点と言えば≪方向音痴≫……」
GM「職業は?」
「戦士ですね。バリバリです」
GM「はい、どうもです。……んでまぁ、技能ポイントを上げるために≪暗い過去≫とか≪追われている≫を取った方?」
「はいはい?」
GM「この特異点はその内容を公開する決まりになってるので、これから暴露のお時間となります。なお、そういった情報はプレイヤーは知ったとしても、プレイヤーキャラクター同士は特別話すようなことをしなければ知らないものとして扱ってね。んじゃハニーさんどうぞ」
「あいあい。えーと、このキャラの暗い過去っと……そうだね、酒乱になってお爺ちゃんの入れ歯を折ってしまった! とか」
GM「ダウト」
「だめ?」
GM「どこが≪暗い過去≫だ。ただのネタだろう」
「こんなんどうでしょ。薬に手を出した親父さんがいきなり襲い掛かってきたので、咄嗟に近くにあった果物ナイフを持って『ぐぎゃぁぁぁぁ』と(笑)」
GM「薬? なんの薬なのかな」
「正露丸とか(笑)」
「ドリーム・ランナーとかじゃないの」
(注釈:ドリームランナーは、ソードワールドRPGに存在する麻薬の一種)
「よく分からないけど、時々注射を打っては満足そうな顔をしてました」
GM「ヤクってことね。まあともあれ殺してしまったと。そのまま発作的に逃げ出してしまって今に至るとかそんな感じにすればいちおう≪暗い過去≫になるか。んじゃあとはDさん」
「あいあい。このキャラはね、元は暗殺者として育てられていたんだよ。しかし色々あって抜け出したんだけど、その時のいざこざがあってなぜか弟に追われています」
「弟さん! ひょっとして、そのケのある弟では……(笑)」
「命を狙われているんだってば(苦笑)」

 ともあれ自己紹介がこうして終わりました。いよいよプレイ開始となります。

→続き:1-2.プレイが始まらない


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