Article: シナリオの導入と進行
- スタンダードRPGにおける冒険の導入パターン |
1、冒険への導入
A、強制突入型
・ジャーナリストとして館を調査するために入ったが、閉じ込められてしまい、出口と同時にウワサの真相を求めて探索をするハメになった……(スゥイートホーム/カプコン)
B、準強制型
・魔法バラモスの討伐を命じられる(ドラゴンクエスト3/エニックス)
C、自主設定型
・自分の国を滅ぼした魔軍の魔導師を倒す誓いを立て出発する(ヴェインドリーム/グローディア)
D、自然誘導型
・自分の住む村が、なぜか魔物の襲撃に遭った(ドラゴンクエスト4・第5章/エニックス)
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2、ゲーム進行
A、おだんご型進行
B、すべり台的進行
ちなみにもう1点。ボス系の敵などを倒してしまった時点で次の舞台に強制的に移行してしまうと、「しまった。やり忘れたことがあった」とユーザが後悔し、一度やり直すという不毛な作業をする事があります。これは緊張感を崩すマイナス効果があるので、「次の舞台に移動しますか? まだなら、満足するまでぶらついていてくれ」らしき確認を取っておく方が良いかと思われます。
C、ピボット型進行
D、クロニクル・リング進行
E、リドル進行
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3、ストーリーの誘導に関して
A、目的のための通過点 「あの谷を越えるには、長いロープを手に入れないといけない。しかしそれ程のロープを作れる人間が捕まってしまっている。その人間はドルイグ城に幽閉されているのだが、ここに入るには騎士の証がいるらしい」 この例を見てどう思ったでしょうか。目下の目的である「騎士の証を入手」したとしても、「あの谷を越える」という解決にまったくなっていません。ドラクエ3で船を入手するプロセスがまさにこんな感じだったんですが、「次がああして、こうして……」という手順が沢山あると、「面倒だなぁ」という倦怠感だけがずっしりのしかかります。結果的にこういったプロセスを辿ることになったとしても、ユーザには常に次の目的程度しか示さない方が進めようという意欲が出るものです。
「谷が越えられないのはまぁ、目下どうしようもないということで、置いておくとする」 このように小目的を繋げることにより、気が付けば一連のプロセスをこなしていた、とさせることができます。ゲームデザインの未経験者は最初のパターンを作りがちなので気を付けてください。 B、逐次指令 1つの小目的をクリアするたびに、何者かによって次の小目的を「強制的に」設定されていくタイプです。それが主人公の希望と合致していれば問題はないのですが、ルーチンワーク的に与えられると、主人公達がゲーム上のただの駒と成り果ててしまい、愛着を失う結果になります。「ブランマーカー/ディー・オー」などがそうなのですが、ノンコンセプトで作っていくと必ずこのパターンになってしまいます。 C、誘発的決定
シナリオの冒頭にて、何らかのシチュエーション(町に病気が流行る、酒場の娘がさらわれる、など)が発生し、感情的もしくは義務的に「~しなくてはっ」と主人公が行動を決めていくものです。進行としてはBと同じになるのですが、あくまでプレイヤーの分身たる主人公が目的を決定しているので、一本道に対して「強制だよなぁ」とあまり文句を感じなくなります。 D、疑似自由型進行
見かけ上は、次の行動などを完全にプレイヤー側に任せる形にしておいて、いつの間にか一本のストーリーへと誘導しておくもの。プレイヤーに「次は~するといいかもよ」と気付かせずにそれとなく提示しておくのがミソです。
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4、シナリオ導入の典型例
A、お姫様(など)が何者かによってさらわれた!<大目的>
B、お姫様(など)が行方不明になった!<大目的>
C、知り合いがやがて死に至る病にかかった<小目的>
D、トラブル・大事件をいつの間にか背負い込んだ<小目的?>
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……とまぁ、スタンダードRPGの冒険はこのように展開されるわけです。TRPGのシナリオもだいだいこのようになっていますね。何か感想、要望などありましたら気軽にメールをくださいね。
- 鷹月ぐみな |