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■ ステータス異常


∇注釈

[※1] スペシャルキャラクター
 ストーリー上欠くことができない重要なキャラクターを差しますが、もう少し広義に、 ゲーム展開上、居なくなったらテキスト的に矛盾が生じてしまうレベルのキャラ にも適応されます。


RPG研究室 - ステータス異常 / 2002.3.13

 依然としてComputerRolePlayingGame製作は人気のようなので、RPG製作に関して思った事をいろいろ述べて行こうと思います。最初はCRPG論として系統立ててやっていこうと思ったのですが、RPGは非常に多様で複雑なゲームジャンルであり、あまりに準備に時間がかかるので、任意のトピックについて好きなように書いていく形態で進行させる事にしました。
 第1回目はステータス異常についての紹介、あるいは考察です。


ステータス異常

 多くのRPGにステータス異常の概念が取り入れられています。一例を挙げるなら毒、混乱、マヒ等。ところで多くの製作者たちはあまりこうしたステータス異常の各要素について深く掘り下げていないような気がします。今回はそんな各要素について、考察して行こうと思います。
(ステータス異常の一覧紹介、という資料にもなる事でしょう)


1、ダメージ毒

 オーソドックスなステータス異常の一つで、ドラクエ・FFその他実に多くのRPGで採用されています。その効果は多くは次のどちらかです。

1) 数歩移動する度に一定量のダメージを受ける
 ちなみに町の中ではダメージを受けるケース、受けないケースがあります。前者は現実的には不自然ですが、確かに町に来て毒で死ぬというのはみっともないですよね(^^;
2) 戦闘ターンの度に一定量のダメージを受ける

 ところで、毒はどうもプレイヤーにとっては非常に軽度なアクシデントとしか考えていないようです。何故なら解消方法は比較的楽であることと、その被害がやはり軽微だからです。
 解消方法としては、序盤は毒消し草に頼り、町の近くであれば教会や診療所で治癒してもらいます。中盤以降はパーティーの誰かの解毒呪文で一発でしょう。また、中盤以降ともなると、たいてい生命力が上がってきますので、解毒呪文をパーティーの誰も覚えていなかった場合でも、回復呪文(或いは回復のアイテム)を使って楽勝で凌げてしまったりもします。
 毒がプレイヤーにとって恐怖となるのは主に序盤の洞窟などで、解毒術の会得していない時に多くの毒持ちモンスター(バブルスライム、タランチュラ)と戦闘になった時くらいでしょう。この時期はHPも低く、下手をすると毒で容易に死にました。
 しかしてたとえ毒で死んだとしても、多くのRPGには復活の恩典があります。これでは毒はプレイヤーにとって脅威となるわけがありません。

 ここで、実際に私たちの世界における毒について考えてみましょう。
 毒キノコを間違って食べたら?毒蛇に噛まれたら?
 毒は私たちに死を招く恐ろしい存在です。現実の毒とRPGの毒と隔たりはずいぶんと大きいように感じます。

【まったくの余談】
 キノコと聞くとすぐに毒を連想されると思いますが、世界に存在するキノコの大多数は食べられるものばかりで、毒持ちは意外に少なかったりします。かといって、適当に食べてしまうほど危険な事はありませんが。
 ちなみにキノコの毒は蛋白毒です。

 というわけで、私は毒をもう少し、プレイヤーにとって危険なものにするよう主張します。
 実は、毒に多くの危険性を与えているゲームはいくつか存在しています。Wizardryがその筆頭格で、「おっと、POISON NEEDLE!」にお世話になった(?)方も多いでしょう。非常にシビアで、放っておいたらあっけなく死にます。そしてWizの世界なので、ドラクエのように「死ぬとは何事だ」で済むほど生易しくはありません。
 まあ、リアリティを重視しまくっているわけではないRPGに、なぜか毒の存在だけがリアル、というのも不自然ですから、Wizほどシビアにする必然性はありませんが、それでも多少なりプレイヤーに対して、毒に恐怖を感じさせて良いと感じます。
 その対策をいくつか挙げておきますので、あとはお好きなように。

1) 生命力が回復できない
2) 解毒手段を減らす(解毒呪文の習得Lvを上げる、毒消しというアイテムを出さないようにする)
3) 毒から受けるダメージを単純に増やす
4) 毒深度なる概念を用意する。
 TRPGではこの概念は割とお馴染みです。適切な所で処置を取らないでいると悪化し、ダメージ量などが加速的に増えるというもので、わりと現実的です。


2、マヒ

 麻痺は実際は毒の一種です。神経毒ですね。ゲームにおいてはこの効果を受けたキャラは一定時間行動ができなくなります。DQにおいては戦闘終了時もある期間持続します。現実的に考えれば、(強度に)麻痺したキャラクターは一歩も動くことができないことでしょう。
 なお、酒も麻痺効果を持ちます。だからと言って戦闘に入ると完全にマヒしてくれる「ティル・ナ・ノーグ」はやりすぎだと思いますが…。


3、暗闇

 主にFFやロマサガなどで取り入れられているステータス異常で、目の前が殆ど見えなくなり、攻撃ヒット率が激減します(半減程度)。回避率もある程度下がるようです。
 粘液や魔法によって、時として強烈な光でこの効果を相手に及ぼすようで、戦闘終了後には直ちにこの効果は切れる……というのが主流ですが、時として「目薬」をつけないと延々そのまんま、という場合があります。ステータス異常の中ではもっとも軽微なものとして、多くの敵キャラのバリエーション攻撃として採用されています。
 特別考察すべき事はありませんが、本当に暗闇なら、攻撃を与えられる事があったり、回避できる事があったりするところ、キャラクター達の第6感に感心します。
 ところで、暗闇化はどちらかというとストーリー展開上の脱出のスパイスとして有効です。煙玉はプレイヤー/敵ともに有効ですし、「タマゴ」や「パンケーキ(パイ)」の投げつけは常として伝家の宝刀となります(後者は単なるお約束ギャグですが…)


4、魅了(チャーム)

 主に女性の敵キャラが男性にかける効果で、影響を受けたものは一時的に変心して、相手の側に付き、今までの味方を攻撃しだします。恋は盲目とはよく言ったもの…とか、適当な諺でこの裏切りを正当化するしかないのでしょうか?(笑)
 まあ、常として魔法効果なので、マトモな突っ込みどころも特にありませんが、精神錯乱の一種なので、今までの味方に呪文攻撃をする精神状態を維持できるとは個人的には思えません(^^;)。
 戦闘終了時にもこの効果は切れますが、術者を撃退した時点で本来効果を消滅させるべきでしょう。
 パーティアタックによっても効果が切れるようになっていたりするものもありますが、これは火に油を注ぎ、より一層敵対心を持つ効果にするほうが正しいのではないか?とも感じます。


5、混乱

 魔法効果。敵味方の区別を無くし、(不定ターン数)めちゃくちゃに攻撃しはじめる効果を持つステータス異常です。ゲーム的に言えば、集団混乱効果は集団魅了効果の次に恐ろしい攻撃で、多くの場合、コマンド入力を無視されてしまいます。
 戦闘終了時にこの効果は普通切れます。魔法効果という事を考えるとこれも術者撃退時点で切れても良いような気もしますが、混乱というのは神経系の強烈な刺激であり、精神操作とは違うわけなので、まあ継続させても良いかという気になりますが、そうなると戦闘終了時に切れる理由が説明付かなくなりますね。(継続時間問題でごまかす?)


6、恐怖

 多くの場合魔法効果。対峙する敵が恐ろしく感じ、あるいは戦いそのものに恐怖心を感じさせます。効果はゲームによっていくつかの違いがあるようで、

・敵にかけた場合、敵の逃亡率が上がる(当然といえば当然ですが、プレイヤー側が逃げる事は無い)
・コマンドを入力したにも関わらず、たまに「立ちすくんで」行動ができなくなる
・攻撃率、回避率の減少。(=暗闇の効果とほとんど同じ)
・魔法の詠唱ができなくなる

 戦闘終了時にこの効果は普通切れます。


7、眠り

 オーソドックスなステータス異常の一つ。この効果にかかったキャラクターは一定時間眠りこけます。ゲーム的な効果としては行動不能、攻撃不能、回避不能となります。ダメージを受けると起きるものと、ダメージに関わらず寝ているものの2通りがあります。
 ところで、一時的な眠りの場合、実に面白い突っ込みがありまして、

1. 眠りの効果を受ける
2. 地面に倒れる
3. その衝撃を受けて目が覚める

 という事になり、1ターンロスするのみで終わるべきでは、という考えがあります。
 TRPGですが、ソードワールドの「スリープ・クラウド」は、ロードス島戦記TRPGの同名の呪文を引き継いでいて、取得レベルが極めて低いにも関わらず効果範囲が広く、非常に強力無比な効果が発揮するのですが、私は上記のようなマスタリングによって、全然使えない呪文に変更してしまいました(笑)。
 ところで、TRPGに見られてCRPGにはない眠りの形がもう一つあり、それは戦闘終了後も永続する「眠りの呪い」です。ストーリー中の重要NPCはよくかかったりしますが、プレイヤーがなることはあまりありませんね。効果としては次に述べる石化と同じなんですが、ファンタジー的に良いステータス異常だと思うので、ぜひ誰か導入を検討してもらいたいものです。


8、石化

 コカトリス、バジリスク、ゴーゴンという特徴的な石化付きクリーチャーの特殊能力によって石化された場合、特別な解除手段を講じない限り、ずうっとそのままになります。戦闘終了後もこの効果は切れることはありません。
 ステータス異常の中では極めて危険な部類に属します。なぜならパーティ全員が石化効果を受けたらその時点で全滅となる上、石化を解く魔法は大抵相当高位なものと相場が決まっているからです。
 ゲームにおける石化は解かれてしまえば何の事はなく元通りに回復できるのがセオリーですが、漫画やTRPGではお馴染み、
「石化状態で体が一部壊された場合、元に戻しても、その部位は永久に復活しない。完全に破壊されたなら永遠に復活できない」という脅しが使われています。
 スペシャルキャラクター(※1)ではないキャラに関しては、この概念を取り入れて見るのも良いかも知れません。石化するとHP:100の特殊ステータスが与えられ、0になると完全死(復活不可)にするようにするわけです。


補題/リボンちょうだい!

 リボンというのはFFでお馴染み、「あらゆるステータス異常を受け付けなくする究極の防具」です。大抵防御性能こそ低いものの、石化その他の陰険な攻撃を無効化できるので重宝されます。売っている事はまずなく、ゲームの後半か、あるいは中盤のよほど特別なプレイヤーに与えられます。
 リボンほどの効果を持っていなくても、一部のステータス異常の影響を受けない道具群が存在します。ドラクエにおける魔よけの鈴あたりが筆頭でしょうか。
 リボンはある意味ステータス変化という存在価値自体を失わせるので、配置には気をつけるべきでしょう。PSOのステイト/メンテナンスはちょっと出現早すぎ(&入手頻度もやや高め)でしたね、正直これはいけません。

 ゲーム的には、様々なステータス異常を出して構いませんが、やはり道具や武器、防具に「〜の影響(個々)を受けない」的な付随機能を付けるのが設計的に良いかなと思っています。


終わりに

 以上、これで全てというわけではありませんが、有名どころを一通り見ていきました。こうしたステータス変化攻撃は、敵キャラの特徴を出すために必要だとは思いますが、現状の用法では非常に味気ないものになっている感が強いので、ぜひ一度検討しなおしてみてはいかがでしょうか。

- 鷹月ぐみな 


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