CreationCollege-TOP
C.College Top創作掲示板 情報局2号館

■ Cカレ運営手記
 フリースタイルの創作情報不定期日記。記事の感想はメールか掲示板でお待ちしています。


∇補足


Cカレ運営手記

 CreationCollege(通称Cカレ) 運営に関して、私(鷹月ぐみな)が、思ったことや覚書を不定期に書いていく日記形式のコンテンツです。この形式の例に漏れず、上が新しい書き込みとなっています(=下から読んでいってください、という事です)。古いものはログ倉庫に落としていきます。


2002/4/25


2002/4/24

 インターネットは国境を越えた、とは言うものの、現実には言葉の壁が厳然と存在し、めいめい自分の国(あるいは同一言語圏)でのみ閉じたコミュニケーション/情報入手を行っています。最近はWeb翻訳サービスなども行われるようになり、若干その壁は崩れつつはあります……しかしそれでも、まだ不自然な翻訳が多く補助どまり、実用には正直耐えません。これはもう少し将来に期待、と言ったところでしょうか。英語圏の人と接する機会が増えれば、必要性から英語を学び、そして覚えるものです。英語以外の言語についてももちろん同様です。
 しかして、インターネットのおかげで、確かに海外の情報も多く流れてくるようにはなりました。向こうの方でも、多言語でのアクセスに対応したページも提供してくれる事もあります。洋ゲーについても、今まではマニアご用達のソフトであったものが、ずいぶんと身近なものになりました。UOにディアブロ、バルダーズゲート、ラグナロク……海外の人とのコミュニケーションは実際に難しいとしても、海外製の作品で、海外のサーバに、日本人が乗り込んでいっている……これは今までにない、革新的な事象です。どういう事か?そのゲームが十分遊べるものだ(&遊びたい)とユーザが判断しさえすれば、他国で作ったものが、他の国の人に遊ばれ、そして商業モノであるならば金が入ってくる、というわけです。他国人のプレイ&購入を前提とする作りをしておけば、市場は一気に世界に広がるわけです。こうしたi18nゲーム(i18n=internationalization=国際化、の意味)は別にネットゲームに限定する必要性はなく、スタンドアローンのゲームでも可能です。要は、ソフトをダウンロードする場があって、それから金を払う方法さえ整備されていれば良いわけです。
 ここら辺の話はまたいずれ細かくしていきたいと思いますが、私たちソフト製作者はもう少し、国際的な視野を持っていて良いかなと思います。この観点において日本は正直遅れています。日本のゲーム業界が外国の方たちにマーケットをすべて占領される……ことまでは心配しなくても、その一部を占有される事は既に起きています。マーケットはもっと自由であるべきの観点ではそれはあるべき姿だと思いますが、いま日本のゲーム業界の市場はとても寒く、そんな状態で海外の方に購買が回ってしまうと言う事はあまり良いことではなく、業界の一部では戦々恐々としているようですね。
 まあ、金の話は置いておきましょう。金は創作をビジネスの問題に置き換えてしまいます、それは時として創作の本質を失わせるものです。私たちはもっと単純にこう考えてみましょう。「自分の作ったソフトが、海外の方にも遊ばれ、評価されたならどんなに嬉しいことだろう!」将来そうしたコミュニティサイト(フリーソフトの)が出来上がる可能性は十分あります。ゲームが好きな人は全世界どこにだって居るのですから。英語が堪能な方は、こうしたサイトの構築に挑戦してみるのも良いかも知れませんね。私?ワタシエイゴヨクワカリマセン(爆)。
 ……いや、実際のところは多少できますけどね(^^;)。

 まあそれはそれとして、私は時々海外の方と創作関係でお話する事があります。最近では、台湾のゲームクリエイターの方と交流を持ちました。「台湾、そこは海賊版の宝庫」なんてイメージをもたれている方も居ると思いますが、それはいつの話でしょうか。旅行に行った方はそういう通りを見たかも知れません。しかし、日本にだって秋葉原を歩いた方は海賊版のソフトが白昼堂々と売られれている事を知っていることでしょう。台湾も韓国も、海賊版のソフトを排除するべく国が活動しており、その成果が既に出ています。いまや両国とも、ゲーマーたちの応援のもと、活発に自分たちの力を注いでゲーム開発に力を入れているのです。韓国のゲーム=首ゲーのようなものばかり、というような偏見は捨て去りましょう。
 そうした海外の正しいゲーム事情についても、前述した方の協力を受けて、皆さんに紹介していければなと考えています。あるいは皆さんの中でそうした情報に通じている方が居ましたら、ぜひぜひ協力していただければと思います。


2002/4/23 Part4

 ゲーム製作の総合的なガイドブックはありますか? と聞かれたら皆さんどう答えますか。
 演劇については演劇シナリオの書き方という冊子はありますし、小説は小説作法の本、漫画は漫画の描き方……とそれぞれありますが、ゲームについてはそういった本がまだ無いのです、少なくとも私が評価できるレベルにおいて。もっとも、ゲームは一人で作るのが極めて難しい、複数のスキルを必要とする作品ですから、書きにくいというのが正直なのでしょうし、そうした複数の事をすべて知っている人があまり居ない、という事なのでしょう。しかしそれがために、ゲームの質というのがなかなか上がっていない、と私は思います。ゲーム製作で一番重要な知識は何か?これはゲームデザインに関する知識であることは疑いありません。はっきり言うと、アマは仕方がないとしても、プロにおいても一流のゲームデザイナーは数えるほどしか居ないというのが実情です。彼らの目線は市場で売るためのゲームデザインであり、そこには「ゲームとは何か」といった、根本的な省察が欠けています(ただし経験については十分であり、それでなんとかやっているというわけです)。プロアマ含めて、分野全体の質を上げるには、ゲームデザイナーを育てる事が必要、と私は考えます。そのために必要なものこそ、前述したガイドブックの存在なのです。
 そんなものがなくても一流になれる、と考える方も居るかも知れません。可能でしょう、ただし長い経験と実践、それと自己省察の元に。あるいは一時的に成功して一流の地位を確保する場合もあるかもしれませんが、誰かのように、3年後には市場から見向きもされなくなるようなゲームデザイナーが居たことを思い出してみるのも良いでしょう。かの人には根本的なゲームデザインの知識が不足していたように感じられます。プロの小説家も、その多くは必ず手元に小説作法の本を持っていて、時々読み返したりしているのです。プロは何ゆえにプロであるか?それで飯を食っている事は当然ですが、真のプロは、継続・持続的にヒットを続けるものです。私たちはプロと呼ぶとき、その上下をあまり意識しません。しかし、Normalクラスのプロさんから、Expertクラスのプロさんまで、実際にはだいぶんレベル、やってる事に開きもあるのです。
 日本のゲーム文化は独特に発達して来ました。技術において及ばなくても、日本はアメリカのそれが持っていないものをいくつも持っています。しかし、ゲームデザイン理論においては日本のそれはあまりに脆弱です。アメリカはどうやら、ゲームデザイン理論がもう少し広く知られているようです。ネット上でしばし紹介される、ゲームデザイン論についての参考文献……となると、たいていクリス・クロフォードの論文か(これはよくできています。一読する価値あり)、コスティキャンのゲーム論がしばし取り上げられます。邦人のは無いのか、と誰かが突っ込みを入れるのですが、それがまた無いわけでして……。(部分的に、日本の一流のデザイナーである宮本茂氏、および1ランクだけ下として、飯島健男氏、遠藤雅伸氏、三辻氏などがコラムを書いていますが。本当は彼らに大規模な公開出版型の教科書を書いてもらいたいものです)
 で、そんな状況なわけで、こりゃ私が書くしかないのかな、と身分不相応な野望も燃やしたくなります。正直、これは掛け値なしに、私がそういったガイドブックを書くには、まだ知識・技術がいくつも不足しています。しかし、それでもなお、将来のための礎として、準備的なものとして、暫定的なゲームデザイン論を発表するのも良いか、と1年くらい前から考えていたりするのです。まあ、書く気になっても、一朝一夕で書ける代物ではなく、時として数年かかるものだと思いますから、ゆっくりやっていこうとは思いますが。
 ちなみに、クロフォードとコスティキャンの論文も、正直あれだけでゲームデザインの知識を十分に得られるかと言うと…そうはいかないようです。抜けも多いですし、理論としても深度がいまいちですし、実践面へのフィードバックが足りません。両方合わせても、あれだけではなぁ、というのが正直な感想です。G・ガイギャックスの論文の方がまだ実践的にためになるのではと考えてしまいます。
 ガイキャックス? RPGの開祖である、あまりに偉大な方です。皆さん覚えておきましょう。この人無しには今のTRPGの形はなく、従ってRPGが生まれることもなく、ドラクエも出なかったというわけで、ファンタジー系ゲームの本当の生みの親です。近代ファンタジーの生みの親はJ・R・R・トールキンですが、彼に次ぐ敬意を払うべき人です。この人はいくつもの論文も出していますが、何故か日本ではいまいち知名度が低いようで。……というわけで、そのうちガイギャクスのゲーム理論を紹介していくことにしましょうか。クロフォードとコスティキャンだけでは、あまりに寂しいですからね。


2002/4/23 Part3

 Cカレで一番人気のあるコンテンツは、フリーサウンドは除くとすると、「ストーリー製作」のサブカテゴリのようです。ここは、ゲーム製作者たちのみならず、ライトノベル書きの人からも参考にしていただいてます。物語はきちんとした構造を持っているということ、感覚としては理解していたとしても、このようにはっきりと示されると新鮮に感じた人もいるのではないでしょうか?ポンティはともかくとして、プロップの分析記事も、すでに新しいものではありませんが、(日本の)ライトノベル書きの人たちにはそれほど広まってはいません。ゲーム製作者たちにとっては、殆ど皆無でしょう…このサイトを見た人を除いては。あれほど直接的に有益な知識なのにも関わらず。皆さんにとってはこれはチャンスです。イギリスのある児童作家が物語の書き方に関して本を出しましたが、その前半はプロップの「昔話の形態学」のまったくの要約でした。プロが現実にあのプロップの分類を活用しているという事は私たちにとっても大きな自信になることでしょう。


2002/4/23 Part2

 そう、こんなスタイルの記事を始めたのも理由がありまして。だいぶんCカレの更新を滞らせていたせいか、書きたい事がそれこそ山のようにできてしまいましてん、けれども一つずつ整然と書いていくにはちょっと時間が足りなさ過ぎまして。時間のあるときに書けば良い、と私もしばらく割り切っていたのですが、このCカレを参考にしてくださる方、知り合いにこのサイトを紹介してくださる方がそれなりにいる事を認知しまして、(嬉しくなると共に義務感も感じまして、)いても立っても居られなくなり、とりあえず自分の書きやすいスタイルで何か色々書いていこう、と思い立ったわけです。それで、折角ですから今までのCカレに無かったタイプ=整形された文章ではなく、地の入ったままの素の文章で記述していくと良いかなあ、と考えたわけです。
 このCカレを初めてだいぶ経ちますが、コミュニティ的なサイトこそ幾つか出てはきましたが、しっかりとした資料・知識系総合情報サイトがいまだに少なく(特定分野における資料系サイトに関してはもちろん色々あります)、それがために、ゲーム製作やストーリー製作の話題が出ると、参考サイトとしてしばしば紹介していただいているようです。紹介して下さる方にはほんとに感謝です。なぜってそれはCカレの運営に協力してもらっている事に他ならないわけですし、それ以上に自分のサイトを評価していただいているという事に喜びを感じるわけです。
 そして、個人的な帰結ではなくて、もう少しグローバルな観点においても、こうやって私が記事を書き、紹介され、それがこの分野に興味ある人にとって活用され、分野全体を押し上げる結果となったなら。私も、これを読んだ皆さんも、分野全体の発展に寄与した、という事になるわけです。分野の発展(への寄与)、この言葉に私はとても魅力を感じます。ゲーム文化、特にアマチュアにおけるそれはまだ未分化の状態にあります。飽和とか食傷というのは、パターンとなったジャンルの、それも一部に関してのみ言える事ですし、それが必ずしも限界まで行き着いてしまったからという訳では全くありません。そもそもゲームとは何か、について論理的かつ明快な回答を出せる人は殆ど居ないというこの状況、ゲーム文化、そして(コンピュータによる)デジタルワークス製作文化という趣味カテゴリーは今後も拡張していく事は間違いないのです。そういう時期に活動ができるという事、また、その分野に関してほんのちょっとだけ多く知っている者として、知識を提供する側に回れている自分に喜びを感じるわけです。そして、もっと役に立つ事を書かなければ!と発奮するわけですね。
 ともあれ、このコンテンツは今後なるべく意欲的に更新していきたいと思います。まだ始めたばかりで方向性や記述のスタンスが完全に固まっては居ない部分がありますが、これは数をこなすうちに見えてくることでしょう。それまではあっちこっち流れが変わるかも知れませんが、そのへんはどうぞご容赦いただければと(^^;


2002/4/23

 創作関連についての覚書的コンテンツは、既に「クリエイション・ノート」というのがあるにも関わらず、新しくこんなコンテンツを始めました。
 違いは何か? 敢えて言うなら、前者は創作的なミニトピックを都度考えて書いていくのに対して、こちらはCカレ周りに関する思ったことを脈略なく書いていく、よりフリースタイルであると言う事なのですが、それ位の違いですか。統合化はできると思うのですが、敢えて気分の一新という事で別コンテンツにしてみました。無駄にコンテンツを増やすことというのはあまり良いことではないと私も思います、けれども自分にとってより書きやすく、継続しやすく、また良いものが書けるのだとしたら、結果ともあれ行動を躊躇う必要はないわけです。何より、Cカレの記事について、多くの方から更新要望や感想をいただきまして、コンテンツの体裁をいろいろ考えて時間を無駄に過ごすよりも、さっさと新しい記事を書いてしまおうという意欲が出たわけでして。
 なお、覚書系コンテンツは「鷹月ぐみな情報局2号館」には複数ありまして、あくまで私個人の生活日誌的なものは「セルフノート」、私個人の創作覚書的なものは「ぷらくてぃすのーと」としています。ここは個人的というよりは、Cカレ(CreationCollege)のカテゴリに関する手記ということで、ここを訪れる皆に読んでもらうことをはっきりと意識して書いています。もっとも中身に関しては、常に有益であるという保証はせず、書きたい事を単に書いているだけのものにすぎませんが。
 私も楽しんで書こうと思いますし、皆さんには気楽に読んでもらえるような、そんなページにしていこうと思います。これから皆さんよろしくお願いします。


--


Copyright- 鷹月ぐみな(T.Ishigami)たかつきCOMPANY 1997-2002.C.College Top